死後事務委任契約とは、その名の通り、自分が亡くなった後のさまざまな諸手続きを誰かに任せておく契約です。例えば、次のような事例に当てはまる方は、意外と多くいるようです。
・夫に先立たれたが、子どもがいない。
・兄弟はすでに亡くなっており、甥や姪とは疎遠だ
・多少の財産はあるが、疎遠な親戚よりも仲のよい友人に遺贈したい
・親戚はいるが遠方に住んでおり、普段は一人暮らしだ。もし自分に何かあったとき、色んな手続きをしてくれる人が近くにいない
正確に言うと、死後事務委任契約だけではなく、遺言書や見守り契約、任意後見契約などと絡めて契約していただいたほうが、便利です。
例えば任意後見契約は、事理弁識能力(判断力)が低下した場合に備えて契約するものです。また本人の死亡と同時に契約が終了してしまいますので、死後の手続きを進めることができません。
死後事務委任契約と遺言書は異なります。遺言書に書いて有効となる内容は、法律で認められているものに限られます。詳しくは、公正証書遺言の作成のページを参照してください。
つまり遺言書では、葬儀の手続きや遺品整理などに関する希望を託すことができないのです。死後事務委任契約は、遺言書とセットで契約することで、より具体的に自らの思いを契約者に託すことができるのです。
遺言書とセットで死後事務委任契約をしておかなければ、預貯金の解約ができませんので、さまざまな手続きを実行するための費用を捻出することができません。
また、遺言書を残す場合は、公正証書遺言でお願いしています。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認の手続きが必要となるからです。
検認とは、遺言書が偽造・変造されないように、相続人全員が家庭裁判所に集まって遺言書の中身を確認します。
仮に身寄りのない方が自筆証書遺言を残し、その保管を当職が依頼されていたとしても、この手続きを踏まないわけにはいきません。
その点、公正証書遺言であれば、検認の手続きが不要ですので、迅速に業務を処理することが可能になります。
死後事務委任契約を依頼される場合、次のようなステップで業務を進めていくことになります。